RFIDタグを屋外や製造現場、水・粉塵・頻繁な洗浄に晒される環境で使用する場合、長期的な信頼性を確保するためには適切なIP保護等級の選択が不可欠です。IP67、IP68、IP69はそれぞれ異なるレベルの防水・耐環境性能を備えていますが、数値が高いからといって必ずしもすべての用途に最適とは限りません。各等級の正確な意味を理解することで、実際の運用条件に最も適したRFIDタグを選定できるようになります。
1. RFIDのIP保護等級とは?
RFIDのIP保護等級(IPコード)とは、RFIDタグのエンクロージャー(筐体)が固形異物や水の侵入に対してどの程度の保護性能を備えているかを示す指標です。IPコードは国際規格「IEC 60529」で定義されており、電気機器筐体の保護等級を標準化しています。
IPコードは通常、2桁の数字で構成されています。
- 第1数字:粉塵を含む固形異物に対する保護性能
- 第2数字:水に対する保護性能(防水性能)
例えば、「IP68」の場合:
- 6 :完全な耐塵構造(粉塵が内部に侵入しない)を意味します。
- 8 :メーカーが指定した条件のもと、水中に継続的に没しても有害な影響を受けない保護性能を示します。
ここで注意すべきなのは、IP等級はあくまでタグ筐体の保護性能を表す指標である点です。IP等級自体は、タグの通信距離(読み取り範囲)、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、あるいは金属対応性能を示すものではありません。
2. IP67 vs IP68 vs IP69:何が違うのか?
これらのRFID保護等級における主な違いは、耐えうる「水との接触形態(種類)」と「その過酷さ(程度)」にあります。
| IP等級 | 防塵性能 | 防水性能 | 主なRFID用途 |
| IP67 | 耐塵形(完全な防塵) | 一時的な水没に対する保護 | 屋外資産管理、倉庫、一般的な産業用途 |
| IP68 | 耐塵形(完全な防塵) | 指定条件での継続的な水没に対する保護 | 屋外機器、高湿度環境、海洋資材および産業資材 |
| IP69 | 耐塵形(完全な防塵) | 耐塵形(完全な防塵) | 高圧洗浄が行われる環境、ハードな清掃を伴う機器 |
| IP69K | 耐塵形(完全な防塵) | ISO 20653規格に準拠した高圧・高温水ジェットに対する保護 | 自動車産業、重機、食品加工、極めて過酷な高圧洗浄用途 |
3. RFIDタグにおける「IP67」とは何を示すのか?

IP67対応のRFIDタグは完全な防塵性(耐塵形)を備え、一時的な水没に対しても保護されています。そのため、雨や高湿度、粉塵、土埃などに晒される屋外や産業現場のさまざまな用途に適しています。
ただし、IP67は「長時間の水中運用に対応している」という意味ではありません。タグを取り付ける対象(資産)が長期間水没する可能性がある場合は、IP68等級に対応したソリューションを選択するのがより適切です。
4. RFIDタグにおける「IP68」とは何を示すのか?

アン IP68 RFID tag 対応のRFIDタグは完全な防塵性(耐塵形)を備えており、指定された条件のもとで継続的な水没に耐えられるよう設計されています。
IP67とは異なり、IP68の水没条件(水深や時間)はすべての製品で一律に決められているわけではありません。適用される具体的な条件は、試験構成に基づいてメーカーごとに規定されます。
ただし、IP68だからといって自動的に高圧洗浄に適しているわけではない点に注意が必要です。水没試験と高圧水ジェット試験は、全く異なる環境条件を想定して実施されるためです。
5. RFIDタグにおける「IP69」とは何を示すのか?

IP69は、清掃やウォッシュダウン(高圧洗浄)作業時に強力な水ジェットに晒される機器を対象として設計されています。IP69対応のRFIDタグは、単に雨や一時的な水没に晒される環境だけでなく、管理対象の資産が日常的にハードな洗浄作業を受ける場合に特に効果を発揮します。
特に要求水準の高い自動車分野や移動体機器(重機など)の用途では、「IP69K」を目にする場合もあります。ISO 20653は道路走行車両の電気機器に関するIPコードを定めた規格であり、末尾に「K」が付く保護等級に対して追加の要件を規定しています。
高圧洗浄や高温洗浄を伴う用途で運用する場合は、IPの数値だけで判断するのではなく、RFIDタグのデータシートに記載されている正確な試験規格や試験条件を必ず確認することをおすすめします。
6. RFIDのIP保護等級が高いほど、優れているRFIDタグと言えるのか?
結論から言うと、必ずしもそうとは限りません。RFIDのIP保護等級は、あくまで環境保護(防塵・防水)における特定の側面のみを表した指標です。そのため、タグを選定する際は他のさまざまな性能特性と併せて総合的に判断する必要があります。
例えば、RFIDタグには以下のような過酷な条件への耐性が求められる場合があります。
| 要件 | 評価・確認項目 |
| 水・粉塵 | IP保護等級 |
| 高温環境 | 動作温度範囲 |
| 化学物質・薬品 | 筐体および使用素材の耐薬品性 |
| 金属表面 | 金属対応(抗金属)RFID設計 |
| 振動 | 構造設計および固定・設置方法 |
| 屋外暴露 | 耐UV(耐紫外線)性、耐候性、耐食性 |
| 長い読み取り距離 | アンテナ設計およびチップの受信感度 |
| 確実な固定・装着 | 粘着テープ、ネジ留め、リベット留め、または結束バンドによる固定 |
これは産業用RFID用途において特に重要です。IP68相当の保護性能を備えたタグであっても、耐熱温度が不十分であれば、高温を伴う製造工程には適しません。
7. RFIDのIP保護等級と「防水(Waterproof)」の違いとは?
「防水RFIDタグ」と「IP等級(保護等級)対応のRFIDタグ」という言葉は同義で使われることがありますが、IP保護等級は試験によって検証された確かな保護性能を、より具体的に表す指標となります。
また、具体的な「試験条件」を確認することも極めて重要です。例えば、IP68はすべての製品に対して統一された水深や潜水時間を定めているわけではありません。そのため、特定の用途に合わせてタグを選定する際は、メーカーが定めた具体的な試験条件を事前に確認することをおすすめします。
8. 結論
最適なRFIDのIP保護等級は、単に最も高い数値を選ぶのではなく、実際の運用環境に基づいて選定する必要があります。IP67は多くの屋外用途に適しており、IP68は長時間の水没環境により向いています。また、IP69やIP69Kは、高圧洗浄が行われる過酷な環境に最適です。
RFIDTag では、産業用、屋外用、および過酷な環境向けに、多様なIP等級対応RFIDタグを取り揃えています。お客様の用途に合わせた最適なタグの選定や、検証用サンプルのご請求につきましては、お気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
1. RFIDタグにおいて、IP68はIP67よりも優れていますか?
必ずしもそうとは限りません。IP67が一時的な水没に対応しているのに対し、IP68は指定された条件での継続的な水没に対する保護性能を備えています。適切な等級は、実際の運用環境における水との接触状況によって決まります。
2. IP69はIP68よりも優れていますか?
どちらの等級も一概に「優れている」と言えるものではありません。IP68は「水没」に対する性能に重点を置いているのに対し、IP69は「高温・高圧水ジェット」に対する保護に特化しています。RFIDタグが実際に晒される環境条件に合わせて選択してください。
3. IP保護等級はRFIDの読み取り距離(通信距離)に影響しますか?
いいえ、影響しません。IP保護等級自体がRFIDの読み取り距離を左右することはありません。読み取り性能は、アンテナ設計、チップの受信感度、タグのサイズ、動作周波数、リーダーの出力、設置向き(指向性)、および周囲の環境などの要因によって決まります。
4. IP69KとIP69は同じものですか?
関連性はありますが、完全に同一の保護等級ではありません。IP69はIEC 60529規格で定義されているのに対し、末尾に「K」が付く等級は、道路走行車両や関連機器を対象としたISO 20653規格に関連しています。



